運用保守とは何か?

はじめに:なぜ「運用保守」が重要なのか?

エンジニアの仕事というと、開発や設計を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際の現場では、運用保守が全体の業務に占める割合も非常に高く、ITサービスの安定稼働を支える重要な役割を担っています。
本記事では、ITエンジニアとして身につけておくべき「運用保守」の基礎知識から実務の流れ、そして必要なスキルセットまでを丁寧に解説します。

運用保守の定義と目的

運用保守とは、システムがリリースされた後、その稼働を維持しながら、障害対応や改善、パフォーマンスの最適化などを行う業務全般を指します。大きく以下の2つに分けられます。

  • 運用(Operation): 日々の業務を安定的に実施するための定常作業。例:ジョブ実行、バックアップ、監視など。
  • 保守(Maintenance): 障害対応やシステムの改善対応を含む作業。例:パッチ適用、構成変更、ログ分析など。

目的はただ一つ、「システムの継続的な安定稼働」です。

運用保守の主な業務内容

1. システム監視

監視ツールを用いて、CPU使用率、メモリ、ディスク、ネットワークの状況、アプリケーションの死活などを常時チェックします。代表的な監視ツールには ZabbixDatadogPrometheus などがあります。

2. 障害対応

異常を検知した際には、即座にアラートを確認し、影響範囲の特定、原因調査、一次対応、恒久対応までを行います。
例:バッチ処理が失敗した、サービスが応答しない等。

3. バックアップとリストア

定期的なバックアップの取得と、万一の際の迅速なリストア手順の整備・検証も運用保守の責務です。
クラウド環境では、AWS BackupAzure Backup がよく使われます。

4. パッチ・アップデートの適用

OSやミドルウェア、アプリケーションの脆弱性対応として、定期的なパッチ適用が求められます。業務影響を避けるために、検証環境でのテストやリリース計画も必須です。

5. ドキュメント整備と改善提案

運用手順書、障害報告書、構成図などを整備し、次の担当者への引き継ぎやナレッジ共有も欠かせません。また、業務効率化のための自動化や運用改善の提案も重要な仕事です。

求められるスキルセット

  • Linux/Windows サーバー管理の基礎知識
  • シェルスクリプトやバッチ処理の作成
  • 監視ツールやジョブ管理ツールの利用経験
  • 障害対応時のロジカルなトラブルシューティング
  • チームとの連携力・報告力

実務でよくあるシナリオと対応例

例えば、深夜2時にシステムのアラートメールが届き、CPU使用率が100%に張り付いているというケース。
この場合、以下のような流れで対応します。

  1. 監視ツールで該当サーバーを特定
  2. top コマンドやログでプロセスの負荷源を確認
  3. 負荷プロセスを一時停止 or 再起動
  4. 原因(バグ、負荷急増など)の分析と恒久対応検討
  5. 関係者への報告とドキュメント化

まとめ:運用保守を極めることは、信頼されるエンジニアへの第一歩

運用保守は一見地味に見えるかもしれませんが、実はエンジニアとしての基礎力・応用力を問われる極めて重要なフェーズです。
「安定運用なくして革新なし」。日々の安定稼働を支えることで、開発やDXの推進も成り立ちます。
ぜひ、本記事をきっかけに運用保守の理解を深め、実務に活かしていきましょう。

採用情報 長谷川 横バージョン
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