Gitの高度なブランチ運用とワークフロー設計

このカリキュラムでは、実務で役立つGitのブランチ運用戦略とワークフロー設計について学びます。
Gitフロー、GitHubフロー、Trunk-Based Developmentといった代表的なワークフローの違いを理解し、プロジェクトに最適な運用を選べる力を養います。
また、コンフリクトを回避するためのルールや、チーム全体で統一感を持って運用するための命名規則も解説します。


🧩 1. Gitの代表的なワークフローと特徴

Gitフロー(Git Flow)

  • 特徴:
    ブランチを「機能」「リリース」「ホットフィックス」など用途別に分ける運用方法。
  • 利点:
    長期プロジェクトやリリース管理に向いている。
  • 欠点:
    ブランチが多くなり、運用が複雑になることがある。
  • 主なブランチ:
    • main(安定版)
    • develop(開発版)
    • feature/*(機能開発用)
    • release/*(リリース準備用)
    • hotfix/*(緊急修正用)

GitHubフロー(GitHub Flow)

  • 特徴:
    mainブランチを中心としたシンプルなブランチ運用。Pull Request(PR)ベースで開発を進める。
  • 利点:
    シンプルで小規模なチームやアジャイル開発に最適。
  • 欠点:
    リリース管理が弱く、長期プロジェクトには不向き。
  • 主なブランチ:
    • main(安定版)
    • feature/*(機能開発用、PR単位で管理)

Trunk-Based Development(トランクベース開発)

  • 特徴:
    main(トランク)ブランチに対して直接または短命なブランチで頻繁にマージする手法。
  • 利点:
    デプロイが高速で、CI/CDパイプラインとの相性が良い。
  • 欠点:
    高度なCI/CD環境が必要で、コンフリクト管理のスキルが求められる。
  • 主なブランチ:
    • main(トランク)
    • 短期間のfeature/*(数日以内にマージ)

🛡️ 2. コンフリクトを回避するための運用ルール

1. こまめなプルとプッシュを徹底する

  • git pull origin main を定期的に実行して最新状態を保つ。

2. PRレビュー時に「差分」を小さく保つ

  • 1つのPRは1つの目的に絞る(例:バグ修正と機能追加を同時にしない)。

3. CI/CDを活用して事前検証を行う

  • 自動テストとリンターをPR作成時に実行する。

4. リベース運用を活用する(Trunk-Based向け)

  • マージ前に git rebase で履歴を整理し、無駄なコミットを減らす。

🏷️ 3. チーム全体でのブランチ命名規則

チーム内で統一することで、ブランチの目的が一目でわかるようにします。

ブランチタイプ命名規則例説明
機能開発(Feature)feature/issue-123-login-ui課題番号や目的を含める
バグ修正(Bugfix)bugfix/issue-456-fix-loginバグの原因をわかりやすく示す
リリース準備release/v1.2.0バージョン名を明記する
緊急対応(Hotfix)hotfix/issue-789-critical緊急度が伝わる名前をつける
ドキュメント更新docs/update-readme作業内容が一目でわかる名前にする

💡 4. 実務で使えるブランチ戦略の選び方

開発スタイルおすすめワークフロー
長期的な製品開発Gitフロー(Git Flow)
アジャイル・スクラム開発GitHubフロー(GitHub Flow)
マイクロサービス開発Trunk-Based Development
CI/CD中心の高速開発Trunk-Based Development

📌 まとめ

チーム全体でわかりやすいブランチ命名規則を定め、運用の一貫性を保つ。

Gitフロー、GitHubフロー、Trunk-Based Developmentの違いを理解し、状況に応じて選べるようにする。

コンフリクトを回避するための運用ルールを徹底する。

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