はじめに
システムの運用において、アプリケーションやサービスを停止せずに新しいバージョンへ更新することは重要です。特に、クラウド環境やコンテナ技術が普及する中で、「ローリングアップデート(Rolling Update)」は一般的なデプロイ手法として広く使われています。
本記事では、ローリングアップデートの仕組みやメリット、実際の運用例について詳しく解説します。
ローリングアップデートとは?
定義
ローリングアップデートとは、システム全体を一度に停止することなく、段階的に新しいバージョンへ更新していく手法のこと です。
複数のサーバーやコンテナを順番に更新することで、サービスを提供し続けながらソフトウェアのアップデートを実施できます。
ローリングアップデートの仕組み
更新の流れ
ローリングアップデートは、次のようなステップで行われます。
- 新バージョンのデプロイ開始
- 最新のアプリケーションイメージやコードを準備
- 一部のインスタンスを新バージョンへ更新
- 負荷分散を考慮しながら、サーバー群の一部をアップデート
- 更新したインスタンスの動作確認
- 正常に動作しているかを監視
- 問題がなければ、次のインスタンスを更新
- 上記のプロセスを繰り返す
- すべてのインスタンスが更新完了
- システム全体が新バージョンへ移行
このように、一部ずつ更新を行うことで、万が一問題が発生しても影響を最小限に抑えながらロールバックできます。
ローリングアップデートのメリット
ローリングアップデートを採用することで、以下のような利点があります。
システムを停止せずに更新できる
従来の「全停止 → 更新 → 再起動」といった方法とは異なり、ユーザーへの影響を抑えながらアップデートを進めることが可能です。
問題発生時のリスクが低い
一部のインスタンスだけを更新するため、もしバグや不具合が見つかった場合でも、すぐにロールバック(旧バージョンへ戻す)ができます。
スケールしやすい
クラウド環境やコンテナオーケストレーションツール(例:Kubernetes)と組み合わせることで、柔軟なスケーリングが可能です。
ローリングアップデートの注意点
メリットが多いローリングアップデートですが、適用時には以下のポイントに注意が必要です。
互換性の確保
新旧バージョンが一時的に混在するため、データ構造やAPIの互換性を維持する設計が求められます。
負荷管理
更新中は一部のインスタンスが停止するため、負荷分散の設定やスケーリング戦略を適切に調整することが重要です。
ロールバック手順の準備
万が一、問題が発生した場合に迅速にロールバックできるよう、旧バージョンのデプロイ手順も用意しておく必要があります。
ローリングアップデートの具体的な実装例
Kubernetes におけるローリングアップデート
Kubernetes では、Deployment の rollingUpdate
ストラテジーを利用することで、簡単にローリングアップデートを実装できます。
kind: Deployment
metadata:
name: my-app
spec:
replicas: 3
strategy:
type: RollingUpdate
rollingUpdate:
maxUnavailable: 1
maxSurge: 1
template:
metadata:
labels:
app: my-app
spec:
containers:
- name: my-app-container
image: my-app:2.0
この設定では、以下のような挙動になります。
- maxUnavailable: 1 → 更新中に最大1つのインスタンスを停止
- maxSurge: 1 → 新バージョンのインスタンスを最大1つ追加
このように設定することで、負荷を分散しながら安全にアップデートできます。
まとめ
ローリングアップデートは、システムを停止せずに安全に更新できる手法 であり、特にクラウドやコンテナ環境で広く使われています。
メリット
- システム停止なしで更新可能
- 問題発生時のリスクが低い
- 柔軟なスケール対応が可能
注意点
- 互換性を維持する設計が必要
- 更新中の負荷管理を考慮する
- ロールバック手順を事前に準備
特に Kubernetes などの最新技術と組み合わせることで、より効率的なデプロイ が実現できます。
適切な運用を行いながら、システムの信頼性と可用性を高めていきましょう!