はじめに
データベースの運用において、障害やエラーが発生した際に重要となるのが ロールバック(rollback) と ロールフォワード(roll forward) です。これらは、データの整合性を保ち、システムの正常な状態を維持するための回復手法として活用されます。
本記事では、それぞれの概念や仕組み、違いについて詳しく解説し、実際のシステム運用でどのように使われるのかを紹介します。
1. ロールバック(rollback)とは?
定義
ロールバックとは、データベースに対する未確定の変更を取り消し、直前の一貫性のある状態に戻す操作のこと を指します。
仕組み
データベースでは、データの整合性を保証するために トランザクション という単位で処理が行われます。トランザクションが完了する前にエラーが発生した場合、ロールバックを実行することで、そのトランザクション内の変更をすべて取り消し、データを元の状態に戻すことができます。
具体例
例えば、銀行口座の振込処理を考えましょう。
- Aさんの口座から1万円を引き出す
- Bさんの口座に1万円を振り込む
- 途中でエラーが発生し、振込が完了しない
この場合、ロールバックが実行されると、Aさんの口座から引き出された1万円も元に戻る ため、データの不整合を防ぐことができます。
◆ ロールバックが必要な場面
- トランザクションの途中で障害が発生したとき
- データの整合性が損なわれる可能性があるとき
- ユーザーが意図しない操作を実行したとき
2. ロールフォワード(roll forward)とは?
定義
ロールフォワードとは、障害が発生した後に、ログを用いてデータを復旧し、最新の状態に戻す操作のこと を指します。
仕組み
データベースでは、変更が発生するたびに トランザクションログ(またはリカバリログ) に記録が残ります。障害が発生してデータが失われた場合、ロールフォワードを実行することで、バックアップ時点のデータにログの変更を適用し、障害発生直前の状態に復元できます。
具体例
例えば、データベースサーバーが突然クラッシュし、ディスクの一部が破損した場合を考えます。
- 昨日の夜に取得したバックアップデータをリストア
- その後、今日の朝からのトランザクションログを適用
- 最新の状態までデータを復旧
このように、ロールフォワードを行うことで、最新の整合性のあるデータに復元できる のです。
ロールフォワードが必要な場面
- システム障害によってデータが消失・破損したとき
- 最新のデータに復元する必要があるとき
- バックアップを復元しただけでは不十分なとき
3. ロールバックとロールフォワードの違い
比較項目 | ロールバック(rollback) | ロールフォワード(roll forward) |
---|---|---|
目的 | 変更を取り消し、元の状態に戻す | 最新のデータまで復元する |
使用するデータ | 未確定のトランザクション | バックアップ+トランザクションログ |
適用タイミング | トランザクション処理中 | システム障害後のデータ復旧 |
具体的な用途 | エラー発生時の処理キャンセル | データ損失時の復旧 |
ロールバックは「処理を元に戻す」ために使われ、ロールフォワードは「バックアップ+ログを適用して復旧する」ために使われます。
まとめ
ロールバックとロールフォワードは、どちらもデータの整合性を守る重要な技術ですが、用途や目的が異なります。
- ロールバック は、トランザクションのエラー時に変更を取り消してデータを元の状態に戻す
- ロールフォワード は、システム障害後にバックアップ+ログを適用して最新のデータを復元する
これらの概念を理解し、適切に活用することで、データの安全性を確保し、システム運用の安定性を向上させることができます。