Android開発を効率化!~Jetpack Composeに移行した際に見つけたメリット~

最近、プロジェクトでAndroidのUI開発をJavaからJetpack Composeに移行する経験をしました。この移行によって得られたメリットを共有することで、これから移行を検討している方々の参考になればと思います。

Javaから移行しようと思ったきっかけ

今までは、主にJavaを使ってAndroidの開発をしていました。Javaを使ってAndroidアプリを開発している中で、コードが複雑になりすぎる問題に直面しました。画面レイアウトをXMLで記述し、ビジネスロジックと画面の更新処理を分けることが煩雑で、特にメンテナンスが大変でした。また、複数のViewやFragmentを管理する際にコード量が増え、デバッグが難しくなることも多かったです。

そこで、よりシンプルで効率的にUIを開発できる方法を模索する中でKotlinとJetpack Composeの存在を知り、移行を検討することにしました。

Android開発の背景

当初はKotlinかJetpack Composeに移行するべきか迷っていました。KotlinはJavaよりも簡潔でわかりやすく、Android開発をスムーズに行うために非常に有用です。一方でJetpack Composeは、Kotlinを使ってさらにUI部分のコードをシンプルにし、画面を直感的に作ることができます。KotlinとJetpack Composeはどちらも開発を効率化しますが、Jetpack Composeは特にUIの作成や管理を大幅に楽にしてくれます

実感したメリット

1. コードのシンプルさとわかりやすさの向上

Jetpack Composeでは、画面レイアウトをXMLで書く必要がなく、すべてKotlinのコード内で完結します。そのため、画面の見た目や動きを一つの場所で管理でき、複雑なコードが減りました。また、書かなければならない余分なコードも少なくなるので、シンプルでわかりやすい構造にすることができました。

2. 状態管理が簡単に

Composeでは、画面の状態が変わると自動で見た目が更新されます。これにより、ユーザーの操作やデータの変化に応じて手動で画面を更新する必要がなくなり、特に入力フォームやリストのような頻繁に変わる部分の実装が楽になります。また、状態の管理もシンプルなAPIで行うことができ、バグが発生しにくくなりました。

3. レイアウトの柔軟さと再利用のしやすさ

Jetpack Composeでは、画面のパーツを関数として作り、簡単に再利用できます。Javaでは独自のViewを作るのに多くの手間がかかっていましたが、Composeでは簡単な関数を作るだけで、どこからでも使えるようになります。これにより、画面の再利用が簡単になり、複雑なレイアウトも作りやすくなりました

4. アニメーションが簡単

Jetpack Composeでは、アニメーションを少ないコードで簡単に作れます。特にアニメーションのAPIを使うと、滑らかな動きを簡単に実現できます。また、ComposeではCanvasというComposable関数を使うことで、Javaと同様にカスタム描画が可能です。これにより、グラフィックや図形を直感的に描画できるので、Javaでの手間が大幅に減り、アニメーションやカスタムUIの実装がよりスムーズになりました

5. 開発スピードの向上とテストのしやすさ

Jetpack Composeを使うことで、画面のプレビュー機能を使いながらデザインをすぐに確認できるため、開発スピードが大幅に向上しました。Javaではエミュレータや実機でビルドして確認する必要がありましたが、Composeではリアルタイムで見た目を確認できるので、作業が早くなります。また、画面がコードで書かれているので、テストも簡単に行うことができ、品質の向上にもつながります。

6. FragmentとComposableの比較

Jetpack ComposeのComposableと、従来のFragmentにはそれぞれの特徴があります。

  • コードのシンプルさ: Fragmentでは画面のレイアウトをXMLファイルで定義し、さらにJavaやKotlinでその操作を行う必要があります。一方、Composableでは画面の見た目と動きを同じKotlinコード内で完結できるため、コードがシンプルになります。
  • ライフサイクル管理: Fragmentには独自のライフサイクルがあり、その管理が複雑になることがありますが、Composableは宣言的にUIを作成するため、ライフサイクルの管理が簡単です。状態が自動的に更新されるため、画面のライフサイクルを意識する必要がほとんどありません。
  • 再利用性: Fragmentは再利用するためにはコードの分割や、複数のXMLレイアウトファイルが必要になります。Composableは関数として作成するため、非常に簡単に再利用でき、他のComposableと組み合わせて新しい画面を作るのも容易です。

このように、Jetpack ComposeのComposableは、Fragmentと比較してUIの開発をより効率的にし、シンプルなコードで画面を作成できるという強みがあります。

移行の過程で直面した課題

Jetpack Composeへの移行中、いくつかの課題に直面しました。

まず、Gradleの設定に関する課題です。Jetpack Composeを使用するには、Gradleのバージョンや依存関係を適切に設定する必要があり、これに時間がかかりました。特に、Composeの最新バージョンを使うためにはGradleのアップデートが必要で、それに伴う互換性の問題やビルドエラーが発生しました。これを解決するために、公式のCodelabを参考にしつつ、依存関係を一つ一つ見直し、プロジェクト全体のGradle設定を最適化していきました。

次に、既存のJavaコードとの互換性の問題です。移行するにあたり、完全にComposeに切り替えるわけにはいかず、一部の機能は既存のJavaコードを維持しつつ、新しい部分だけComposeで実装する必要がありました。このハイブリッドな状態を管理するのは難しく、特にFragmentとComposableの連携部分で問題が発生しました。この課題に対しては、相互運用機能を使って、既存のFragmentとComposableを組み合わせる方法を試行錯誤しながら対応しました。

また、Composeのライフサイクル管理が従来のFragmentやActivityとは異なるため、特に画面遷移や状態保持に関する部分で混乱がありました。Composeは宣言的UIであるため、状態が自動でUIに反映される点は便利ですが、ライフサイクルイベントに直接アクセスできないことから、画面遷移の際の状態管理に苦戦していました。これについては、rememberやrememberSaveableなどのAPIを使用して状態を適切に保持することで対処しました。これらは、コンポーズ内で状態を保持するために使われる基本的なAPIで、画面が再コンポーズされてもその状態を保存することができます。これにより、ユーザーが操作中に画面を回転させた場合などでも、入力内容や進行状況が失われないようにすることが可能です。

まとめ

Jetpack Composeへの移行は、最初は新しい考え方に慣れるまで時間がかかりますが、その分得られるメリットはとても大きいと感じました。特にコードのシンプルさ、状態管理のしやすさ、再利用のしやすさ、アニメーションの実装の簡単さ、そして開発スピードの向上はComposeならではの強みです。まだComposeを試したことがない方は、一度使ってみることをおすすめします。移行の手間以上の価値が得られると思います。

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