ゲーム作成のクロスロード〜UnityかUnreal Engineか?〜

どうもエンジニアのKdesu。

今回は、近年目まぐるしく発達しているゲーム開発分野についてのテックブログについて書いていきます。

ゲーム開発は創造性と技術の融合であり、その心臓部にあるのがゲームエンジンです。

現代のゲームエンジンは、開発者にリアルタイムでのレンダリング、物理演算、AI、大規模なワールドの構築といった複雑な機能を提供しています。

特に「Unity」と「Unreal Engine」は、ゲーム開発者にとって最もポピュラーな選択肢とされていますが、これらのエンジンがどのように異なるかを理解することは、プロジェクトの成功に直結します。

本記事では、UnityとUnreal Engineの主要な違いを探り、それぞれのエンジンがどのようなプロジェクトや開発環境に最適かを明らかにしていきます。

グラフィックの品質からプラットフォームの対応範囲、ユーザビリティ、ライセンス費用、コミュニティサポートまで、詳細な比較を行い、読者が自身のニーズに合った選択を行えるように情報を提供します。

この比較を通じて、開発者が自分のビジョンに最も適したツールを選び、そのポテンシャルを最大限に引き出すための洞察を得ることができれば幸いです。

※余談ですが、自分はUnreal Engine派です。

1. はじめに

UnityとUnreal Engineの簡単な概要

Unityは2005年に発売されたゲームエンジンで、その使いやすさと多様なプラットフォーム対応により広く採用されています。

2Dおよび3Dゲームの開発に適しており、モバイルゲーム、PCゲーム、さらにはAR/VR体験の制作にも利用されています。

一方、Unreal Engineは1998年に初版がリリースされ、その高いグラフィカル能力とリアルタイムレンダリング技術で知られています。

大規模なAAAタイトルや、詳細なビジュアルが求められるプロジェクトに特に適しています。

ゲーム開発プロジェクトに適切なエンジンを選択する重要性

ゲームエンジンを選ぶ際には、プロジェクトの要件に合わせて最適なものを選ぶことが非常に重要です。

例えば、Unityはスクリプトの柔軟性や多様なプラットフォームへの対応が魅力的ですが、最高水準のグラフィックを要求される場合にはUnreal Engineがより適しています。

また、開発チームの技術的背景や、プロジェクトのスケジュール、予算などの条件もエンジン選びに影響します。

適切なツール選びは、開発の効率化、コスト削減、そして最終的な製品の品質向上に直結するため、プロジェクトの成功には欠かせない選択となります。

2. 歴史的背景

Unityの起源と進化:

Unityは2005年にUnity Technologiesによって開発され、最初は小規模なゲーム開発者向けのアクセスしやすいツールとして市場に登場しました。

当初はMac OS X専用のエンジンでしたが、その後、WindowsやLinuxを含む多くのプラットフォームへと対応を拡大していきました。

Unityは「開発の民主化」をモットーに、初心者からプロフェッショナルまで、幅広い開発者に利用されるようになりました。

バージョンアップを重ねるごとに、2Dゲーム開発のサポート、VR/AR技術への対応、モバイル最適化、そしてクラウドベースのサービスなど、新しい技術への対応が進められています。

Unreal Engineの起源とその進化の概要:

Unreal Engineは1998年にEpic Gamesによって最初にリリースされました。

初期のバージョンは、主にファーストパーソンシューターゲーム「Unreal」での使用を目的としていましたが、その強力なレンダリング能力とリアルタイムプロセッシング機能が評価され、多くの異なるジャンルのゲーム開発に採用されるようになりました。

特に、Unreal Engine 4のリリースは、ビジュアルスクリプティングシステム「ブループリント」の導入により、プログラミングが苦手なデザイナーでも高度なゲームロジックを組み込むことが可能となり、さらに多くの開発者に支持されるきっかけとなりました。

現在のUnreal Engine 5では、ナナイトとルーメンといった革新的なグラフィックス技術を導入し、更にリアリズムの追求と、効率的なゲーム開発プロセスが可能になっています。

3. 主な特徴

Unityの主な特徴と強み:

Unityの最大の特徴はその多様性とアクセシビリティです。UnityはC#言語を使用し、比較的簡単に習得できるため、初心者からプロフェッショナルまで幅広い開発者に適しています。

また、モバイル、デスクトップ、Web、VR/ARといった多様なプラットフォームへの対応が特に強く、小規模から中規模のゲームプロジェクトに適しています。

さらに、Unityはアセットストアを通じて多くのプリセット素材やツールが提供されており、開発の初期段階での時間とコストを削減できるのも大きな利点です。

Unreal Engineの主な特徴と強み:

Unreal Engineの最も顕著な特徴はその圧倒的なグラフィックス性能と先進的なゲームエンジン機能です。

C++を基にした開発環境は高度なカスタマイズが可能で、大規模なAAAゲームタイトルや映画品質のビジュアルが要求されるプロジェクトに最適です。

ビジュアルスクリプティングシステム「ブループリント」により、プログラミングスキルがないアーティストやデザイナーでも直感的にゲームロジックを組み立てることができます。

また、リアルタイムレンダリング技術により、開発中のゲームのビジュアルをリアルタイムで確認し、調整が可能です。

4. プログラミング言語と開発環境

Unityで使用されるC#と、その利点と制限:

Unityで主に使用されるプログラミング言語はC#です。

C#はMicrosoftによって開発された言語で、読みやすく、学びやすいという特徴があります。

この言語のアクセシビリティと高度なオブジェクト指向機能により、ゲームロジックやユーザーインターフェースの開発が容易になります。

また、C#はガベージコレクションを備えているため、メモリ管理が自動化され、開発者がメモリリークについて心配する必要が減少します。

ただし、この自動メモリ管理は、パフォーマンスが重要なアプリケーションでは制御が少ないため、場合によってはハンドルが困難になることがあります。

Unreal Engineで使用されるC++と、その強力な機能と複雑さ:

Unreal Engineのプログラミングは主にC++で行われます。C++は非常に強力で柔軟性が高い言語であり、メモリ管理や処理速度の面で高度な制御を提供します。

これにより、開発者はリソースを多く消費する大規模なゲームプロジェクトにおいて、最適なパフォーマンスを引き出すことが可能です。

しかし、C++の学習曲線は非常に急であり、ポインタやメモリ管理などの複雑な概念を理解する必要があります。

また、C++のコードはバグが発生しやすく、デバッグが難しいことがあります。

これに対して、Unreal Engineのブループリントビジュアルスクリプティングシステムがバランスをとる役割を果たし、プログラミングが得意でないデザイナーも直感的にゲーム機能を開発できるように支援します。

5. グラフィックスとパフォーマンス

UnityとUnreal Engineのグラフィックス能力の比較:

Unityは、フレキシブルなグラフィックスエンジンを提供し、さまざまなプラットフォームで一貫したビジュアル品質を維持することができます。

Unityのシェーダー言語やライティングシステムは十分に強力で、モバイルゲームからバーチャルリアリティまで広範囲にわたるプロジェクトに対応します。

しかし、Unreal Engineは特に高度なビジュアルフィデリティにおいて優れています。

その高度なグラフィックスパイプラインは、リアルタイムレンダリング、動的ライティング、粒子システムなどの面で業界をリードしており、映画やテレビのプリプロダクション、そしてAAAゲーム開発において選ばれることが多いです。

両エンジンにおけるパフォーマンスの違いと最適化の取り組み:

UnityとUnreal Engineでは、パフォーマンスの最適化に向けたアプローチが異なります。

Unityはさまざまなプラットフォームへの対応が強みであるため、プロジェクトの初期段階から最適化が重視されています。

Unityでは、アセットのインポートサイズや解像度の調整、バッチ処理、LOD(Level of Detail)システムなどを通じて、リソースの消費を抑えながらも良好なパフォーマンスを維持するための多くのツールが提供されています。

一方、Unreal Engineはその高いデフォルトのビジュアルクオリティのため、特にハードウェアリソースを多く要求することがあります。

しかし、プロファイリングツール、ビジュアルスクリプティングを通じたパフォーマンスチューニング、マルチスレッディングなどの先進的な最適化オプションを提供し、デベロッパーが高品質なグラフィックスを維持しつつ、最適なパフォーマンスを追求することを可能にします。

6. 市場での位置付けと使用例

UnityとUnreal Engineの市場での普及度と主な利用分野:

Unityは、そのアクセシビリティと柔軟性により、特にインディーゲーム開発者や教育機関から高い人気を得ています。また、モバイルゲーム市場においても支配的な地位を占めており、iOSやAndroidで動作するゲームの多くがUnityで開発されています。さらに、UnityはVRやARの開発ツールとしても広く使用されており、エンタープライズレベルのアプリケーションやインタラクティブな広告、教育ツールとしても利用されています。

Unreal Engineは、高いグラフィカルフィデリティと物理シミュレーションの能力を生かして、大規模なAAAタイトルやリアルタイムのアーキテクチャビジュアライゼーション、映画・テレビのプロダクションに使用されています。このエンジンは、そのビジュアル品質の高さから、高い予算を持つ大規模プロジェクトで好まれる傾向にあります。また、複雑なシミュレーションやVR体験の開発にも適しており、教育や軍事訓練のシミュレーションにも採用されています。

代表的な成功事例とそれぞれのエンジンの使用事例:

Unityの代表的な成功事例には、「ポケモンGO」や「モニュメントバレー」があります。

これらのゲームはUnityの多様なプラットフォーム対応と開発の容易さを生かし、幅広いユーザーに受け入れられました。

特に「ポケモンGO」は、AR技術を用いた画期的なゲームデザインで世界的な現象を引き起こしました。

Unreal Engineの成功事例としては、「フォートナイト」や「ギアーズ・オブ・ウォー」シリーズが挙げられます。

これらのゲームはUnreal Engineの高度なグラフィックスとパフォーマンスを活かし、詳細なビジュアルとスムーズなゲームプレイを実現しています。

また、Unreal Engineは「ザ・マンダロリアン」のようなテレビシリーズのプロダクションにも使用され、バーチャルプロダクション技術の進化に貢献しています。

7. コミュニティとサポート

両エンジンの開発者コミュニティの規模と活動性:

Unityの開発者コミュニティは非常に大きく、世界中に広がっています。

この広範なコミュニティは、初心者からプロフェッショナルまで多岐にわたる開発者が活動しており、フォーラム、オンラインコース、ワークショップ、ユーザーグループ、年次会議(Unity Developer Dayなど)を通じてサポートが提供されています。

また、多数のオンラインリソースとチュートリアルがあり、さまざまな問題に対するソリューションが共有されています。

Unreal Engineのコミュニティもまた大規模で活発であり、特に技術的に高度な開発者やプロフェッショナルな映像制作者に人気があります。

Unreal Engineは、オンラインフォーラム、公式ドキュメント、チュートリアルビデオ、デベロッパーミートアップ、Epic Gamesからの定期的なウェビナーなど、広範囲なコミュニティサポートを提供しています。

このエンジンのコミュニティは、特にビジュアルクオリティやリアルタイムレンダリング技術に関する高度な知識交換で知られています。

提供される教育リソースとサポートの質:

Unityは、Unity Learnプラットフォームを通じて無料および有料の学習リソースを豊富に提供しています。

これにはビギナー向けの基礎から、アドバンスドユーザー向けの特化したコースまで含まれ、特定のゲーム開発技術や新しいアップデートに対応する深い内容があります。

また、Unity Certificationプログラムにより、開発者がそのスキルを正式に認定することも可能です。

Unreal Engineもまた、教育とリソースの提供に力を入れています。

Unreal Online Learningは、初心者から熟練開発者までを対象とした幅広いチュートリアルとコースを提供しており、特に高度なグラフィックスやゲームエンジンの機能を最大限に活用する方法に焦点を当てています。

また、Epic Gamesは学校や教育機関と協力してカリキュラムを提供し、次世代のゲーム開発者や映像制作者を育成するためのプログラムも展開しています。

これらのコミュニティと教育リソースの充実は、UnityとUnreal Engineの学習と使用を容易にし、開発者が各エンジンを最大限に活用できるよう支援しています。

各エンジンのコミュニティの支援を利用することで、技術的な障壁を克服し、より高品質なゲームやアプリケーションの開発が可能となります。

8. 価格とライセンスモデル

UnityとUnreal Engineのライセンスオプションとコスト構造:

Unityはいくつかのライセンスオプションを提供しており、それぞれ異なる開発ニーズに対応しています。

基本的には「Unity Personal」が無料で利用可能で、売上が年間10万ドル以下の個人または小規模企業向けです。

より高度な機能やサポートが必要な開発者や企業は、「Unity Plus」や「Unity Pro」を選択でき、これらのプランでは高度な分析ツール、より多くのアセットストアオプション、そしてプロジェクトのクラウドビルド機能などが提供されます。

「Unity Enterprise」は大企業向けで、専用のサポートやカスタムサービスを提供しています。

Unreal Engineは、そのライセンスモデルが非常に開発者フレンドリーです。

基本的には無料で利用可能で、プロジェクトが一定の収益を超えた場合にのみロイヤリティが発生します。

具体的には、ゲームやアプリケーションが年間10万ドル以上の収益を生み出した場合、収益の5%がロイヤリティとしてEpic Gamesに支払われます。

このモデルは、初期投資を抑えつつプロジェクトを始めることができ、成功した場合のみ費用が発生するため、特にスタートアップや独立開発者にとって魅力的です。

小規模開発者から大規模企業までの利用者にとっての費用対効果:

Unityの価格モデルは、小規模開発者や初学者にとってアクセスしやすい構造を持っています。

無料版であるUnity Personalは、多くの基本的な機能を提供し、初めてゲーム開発を行う個人にも十分な機能を備えています。

一方、Unity ProやEnterpriseを選択すれば、大規模なプロジェクトや商業的な開発で求められる高度な機能とサポートが得られますが、これには年間サブスクリプション料が必要です。

Unreal Engineは、そのロイヤリティベースのライセンスモデルにより、初期のコスト負担が非常に低いです。

このため、資金が限られているスタートアップや個人開発者にとっても手が届きやすく、プロジェクトの収益性が証明された後にのみ追加の費用が発生する構造は、リスクを最小限に抑えることができます。

また、大規模企業にとっても、Unreal Engineは高いビジュアル品質と広範な機能を提供するため、大規模プロジェクトや高い予算を投じるプロジェクトに適しています。

9. まとめ

このように、プロジェクトの目的、チームのスキルセット、予算、そして目指す市場に応じて、UnityまたはUnreal Engineの選択が異なります。

Unityはその多様なプラットフォーム対応と使いやすさから、インディーゲーム開発者、モバイルゲーム、教育用アプリケーション、または限られたリソースを持つプロジェクトに最適です。

また、VRやARといった新技術のプロトタイプ開発にも強みを持っています。

対照的に、Unreal Engineは、その高度なグラフィックスと複雑なシミュレーション機能が求められる大規模なAAAゲーム、リアルタイムのビジュアルプロダクション、高品質なVR体験向けのプロジェクトに適しています。

また、技術的に高度な開発チームや、ビジュアルクオリティに妥協を許さないプロジェクトにとって、Unreal Engineは強力な選択肢です。

今後ゲームエンジンの選択に関してさらに学びたい場合、以下のリソースを参照することを推奨します。

各エンジンの公式ウェブサイトは、新機能、チュートリアル、コミュニティフォーラム、そして最新の開発ツールに関する詳細な情報を提供しています。

Unityリソース:

 • Unity Learn: Unityの公式学習プラットフォームで、初心者から上級者まで様々なレベルに合わせた教材が豊富に用意されています。

 • Unity Community: Unityの開発者フォーラムで、技術的な質問やベストプラクティスの共有が行われています。

Unreal Engineリソース:

 • Unreal Online Learning: Unreal Engineの公式オンライン学習プラットフォームで、様々なチュートリアルとコースが無料で提供されています。

 • Unreal Engine Forums: Unreal Engineのコミュニティフォーラムで、高度な技術的議論や業界のトレンドが交わされます。

また、上記のリソースを利用することで、具体的な技術的課題の解決だけでなく、業界の最新動向や革新的な使用事例に触れることが可能です。

これにより、より情報に基づいたエンジン選択が行えるようになります。

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