Laravelを使っていると、コンストラクタにクラスを渡すだけで自動でインスタンス化されるという体験をしたことがあるでしょう。これは Laravel のサービスコンテナと呼ばれる DI(依存性注入)機構によるものです。
本記事では、LaravelにおけるDIコンテナの仕組みと活用法について、初学者にもわかりやすく実例で解説します。

依存性注入(DI)とは?
依存性注入(Dependency Injection)とは、クラスの中で他のクラスを自分でインスタンス化せず、外部から渡してもらう設計のことです。
悪い例:依存が強いコード
<?php
class TaskService {
protected $logger;
public function __construct() {
$this->logger = new Logger();
}
}
このように内部でインスタンス化すると、テストや拡張が困難になります。
良い例:依存性注入を使う
<?php
class TaskService {
protected $logger; public function __construct(Logger $logger) {
$this->logger = $logger;
}
}
必要な依存(Logger)を外部から注入することで、切り替えやテストが容易になります。
Laravelのサービスコンテナとは?
Laravelはサービスコンテナ(IoC Container)という仕組みで、依存関係の解決を自動化しています。
以下のように、コントローラーやサービスのコンストラクタにクラスを指定するだけで、自動的にインスタンスを注入してくれます。
class TaskController extends Controller {
public function __construct(TaskService $service) {
$this->service = $service;
}
}
このとき、Laravelのサービスコンテナが TaskService
のインスタンスを生成して渡しています。
サービスコンテナへのバインド方法
インターフェースと実装を分離したい場合は、AppServiceProvider
でバインドを行います。
例:リポジトリのバインド
// app/Providers/AppServiceProvider.php
public function register() {
$this->app->bind( \App\Repositories\TaskRepositoryInterface::class, \App\Repositories\TaskRepository::class );
}
これにより、どこかで TaskRepositoryInterface
を要求したとき、Laravelは自動的に TaskRepository
を注入します。
make()メソッドとサービスの取得
明示的にコンテナからインスタンスを取得したい場合は app()
または resolve()
を使います。
$service = app(\App\Services\TaskService::class);
Laravel内部では、ルート定義・イベント・コマンドなど様々な場所でこのDI機構が活用されています。
クロージャでのバインドも可能
$this->app->bind('MyService', function ($app) {
return new \App\Services\MyService('パラメータ');
});
$service = app('MyService');
まとめ:DIとサービスコンテナのメリット
依存性注入(DI)とサービスコンテナを活用することで、次のような利点があります:
- 疎結合な設計: 依存する実装を柔軟に切り替え可能
- テストの容易化: モックやスタブと差し替えしやすい
- 拡張性の向上: ソフトウェア構造がスケーラブルに
LaravelのDIコンテナは非常に柔軟で、フレームワークを超えた設計力を身につけるうえで非常に有用な概念です。