サイバー攻撃が高度化・巧妙化する中、企業のセキュリティ対策に不可欠なのがSIEM(Security Information and Event Management)です。
SOC(セキュリティオペレーションセンター)の運用において中心的な役割を果たし、あらゆるログ情報を一元管理し、リアルタイムでの脅威検知を可能にします。
この記事では、SIEMの概要、主要機能、導入メリット、代表的な製品までを初心者にもわかりやすく解説します。
SIEMとは?意味と役割を簡単に解説
SIEM(Security Information and Event Management)とは、ファイアウォールやサーバー、エンドポイントなどから出力されるセキュリティログやイベントデータを一元的に収集・分析するセキュリティプラットフォームです。
サイバー攻撃の兆候をいち早く検知し、リアルタイムでアラートを発することで、企業の情報資産を守る重要な役割を担います。
SIEMの構成要素:SIMとSEM
SIEMは以下の2つの機能を統合しています。
- SIM(Security Information Management):ログの収集・保管・相関分析
- SEM(Security Event Management):リアルタイムなイベント監視・アラート通知
SIEMの主な機能5つ
1. ログの収集と正規化
あらゆる機器からのログ(ファイアウォール、サーバー、アプリ、エンドポイントなど)を収集し、共通のフォーマットに整形(正規化)して保存・処理します。
2. 相関分析(Correlation Analysis)
異なるシステムのログを横断的に分析し、攻撃の兆候や不審なパターンを自動検出。単独のログでは見えない異常をあぶり出します。
3. アラートの自動生成
事前に設定したルールや機械学習アルゴリズムにより、危険な挙動を即座に検知し、セキュリティチームへアラート通知を行います。
4. ダッシュボードでの可視化
セキュリティ状態やアラート状況をグラフィカルに表示するダッシュボードにより、状況把握と意思決定を迅速にサポートします。
5. 自動インシデント対応(SOAR連携)
SIEMはSOAR(Security Orchestration, Automation and Response)ツールと連携し、自動で封じ込め・調査・対応アクションをトリガーすることが可能です。
【図解】SIEMのログ分析フロー(擬似コード例)
logs = collect_logs(["firewall", "endpoint", "server"])
normalized = normalize(logs)
correlated_events = correlate(normalized)
if detect_threat(correlated_events):
send_alert("SOCチームに通知")
SIEMを導入するメリット
1. 攻撃の早期発見と迅速な対応
リアルタイムでの脅威検知により、攻撃の初動段階で対応可能。大規模な被害を未然に防ぎます。
2. コンプライアンス対応の強化
ISO 27001、PCI DSS、NIST等のセキュリティ基準に準拠したログ管理が可能。監査対応にも有効です。
3. セキュリティ運用の効率化
アナリストの業務負担を軽減し、対応スピードと精度を両立。人的リソースの最適化が図れます。
4. 過去ログからの脅威分析
長期間のログ保存により、フォレンジック(事後調査)や攻撃の再発防止策にも活用できます。
代表的なSIEMツール一覧(2025年版)
製品名 | 特徴・強み |
---|---|
Splunk | 柔軟な検索機能と拡張性、クラウド対応の強み |
IBM QRadar | 企業向けの統合分析とSOAR連携の実績が豊富 |
Microsoft Sentinel | Azure統合に強み、クラウドネイティブなSIEM |
ArcSight | 大企業向けの高性能SIEM、長年の実績 |
LogRhythm | 中堅企業にも導入しやすく、UIが直感的 |
SIEMはセキュリティ体制強化のカギ
SIEMはSOCと連携してサイバー攻撃の早期検知・対応を支える中核技術です。企業規模や業種を問わず、セキュリティ強化・法令対応・業務効率化の観点から、今や導入が不可欠な存在となりつつあります。
セキュリティ対策の第一歩として、自社に最適なSIEMソリューションの導入を検討してみてはいかがでしょうか?