インフラエンジニアという言葉を聞いたことはありますか?ITシステムを縁の下で支える重要な役割でありながら、その実態はあまり知られていないかもしれません。
この記事では、「インフラエンジニアってどんな仕事?」という疑問から、「未経験からでもなれる?」「どんなスキルが必要?」「将来性はあるの?」といった、あなたが知りたいであろう情報を初心者にもわかりやすく解説します。この記事を読めば、インフラエンジニアの全体像が掴め、あなたがIT業界で活躍する第一歩を踏み出すきっかけになるはずです。
- インフラエンジニアとは?ITシステムの「土台」を支えるプロフェッショナル
- なぜ重要?インフラエンジニアがいないとどうなる?
- インフラエンジニアの主な仕事内容:設計から運用、セキュリティまで
- 未経験からインフラエンジニアは目指せる?現実は甘くない?
- インフラエンジニアに求められるスキル:技術スキルとヒューマンスキル
- インフラエンジニアのキャリアパスと将来性:需要の高まりと多様な選択肢
- インフラエンジニアになるための具体的な学習ステップ
- STEP 1: ITの基礎知識を習得する(期間:1~2ヶ月)
- STEP 2: ネットワークとLinuxの基礎を固める(期間:2~3ヶ月)
- STEP 3: クラウド技術の習得(期間:3~4ヶ月)
- STEP 4: スクリプト・自動化の基礎に触れる(期間:1~2ヶ月)
- STEP 5: 実践的な経験を積む&情報収集(継続的に)
- 資格取得のススメ
- インフラエンジニアの年収は?市場価値を高めるには
- インフラエンジニアに関するQ&A
- まとめ
インフラエンジニアとは?ITシステムの「土台」を支えるプロフェッショナル
インフラエンジニアとは、ITシステムの基盤となる「インフラストラクチャー(Infrastructure)」、つまり「基盤」を設計、構築、運用、保守するエンジニアのことです。
「インフラ」とは、私たちが普段利用しているWebサイトやアプリケーション、企業の業務システムなどが問題なく動くために必要不可欠な、以下のようなIT基盤の総称です。
ITインフラの主要要素
- サーバー: データを保管したり、プログラムを実行したりするコンピューター
- ネットワーク: サーバーやパソコン同士をつなぎ、データのやり取りを可能にする通信網(インターネットもその一つ)
- ストレージ: 大量のデータを保存する装置
- データベース: 整理された形式でデータを蓄積し、効率的に利用するためのシステム
- クラウドサービス: AWS、Google Cloud、Microsoft Azureといった、インターネット経由で利用できるITリソースの総称
私たちがスマートフォンのアプリを使ったり、オンラインショッピングを楽しんだりできるのは、すべてインフラエンジニアが整備した「土台」があるからこそ。彼らは、まるで建物の基礎工事や水道・電気・ガスといったライフラインを整備する職人のように、ITシステムの安定稼働を支えているのです。
なぜ重要?インフラエンジニアがいないとどうなる?
インフラエンジニアの仕事は、一見すると地味に思えるかもしれません。しかし、彼らの存在なくして現代のITサービスは成り立ちません。
もしインフラが不安定だったり、適切に構築されていなかったりすると、以下のような問題が発生します。
インフラの不備で起こりうる問題
- システムダウン: サービスが停止し、利用者がアクセスできなくなる
- 速度低下: ページの読み込みが遅くなり、ユーザー体験が悪化する
- データ消失: 重要な顧客情報や取引データが失われる
- 情報漏洩: サイバー攻撃により個人情報などが外部に流出する
- コスト増大: 非効率なシステム運用により、余計な費用がかかる
想像してみてください。突然、銀行のオンラインシステムが使えなくなったり、お気に入りのECサイトにアクセスできなくなったりしたらどうでしょう?私たちの生活や企業の経済活動に甚大な影響が出ます。インフラエンジニアは、こうしたトラブルを未然に防ぎ、常に安定したITサービスを提供するために不可欠な存在なのです。
インフラエンジニアの主な仕事内容:設計から運用、セキュリティまで
インフラエンジニアの業務は非常に多岐にわたります。ここでは、主な仕事内容をフェーズごとに見ていきましょう。
1. 要件定義・システム設計
システムの目的や必要な機能を理解し、それを実現するための最適なインフラ構成を検討します。
- サーバーやネットワークの構成設計: どのようなサーバーを何台用意するか、ネットワークの配線や設定をどうするかなどを具体的に計画します。
- 将来の拡張性や信頼性の考慮: 将来のアクセス増加に耐えられるか、万が一の故障時でもサービスを継続できるかなどを考慮します。
- 予算と相談: 限られた予算の中で、最大限のパフォーマンスを発揮できるような構成を考えます。
2. 環境構築
設計に基づいて、実際にITインフラを作り上げていきます。
- サーバーの設置・設定: 物理サーバーを設置したり、仮想環境上にサーバーを構築し、OS(Linux, Windows Serverなど)や必要なソフトウェアをインストール・設定します。
- ネットワーク機器の設置・設定: ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器を設置し、通信ができるように設定します。
- クラウドサービスの構築: AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドプラットフォーム上で、必要な仮想サーバーやデータベース、ストレージなどのリソースを構築・設定します。
3. 運用・保守
構築したシステムが正常に稼働し続けるよう、日々の管理を行います。
- システム監視: サーバーの稼働状況、ネットワークのトラフィック、CPUやメモリの使用率などを常に監視し、異常がないかを確認します。
- トラブルシューティング: システムに障害が発生した場合、原因を特定し、迅速に復旧作業を行います。夜間や休日の対応が必要になることもあります。
- パッチ適用・バージョンアップ: セキュリティの脆弱性に対応するため、OSやソフトウェアの更新(パッチ適用)を行ったり、新しいバージョンへのアップグレードを行います。
4. セキュリティ対策
サイバー攻撃や情報漏洩からシステムを守るための対策を講じます。
- ファイアウォールや認証システムの設定・管理: 不正アクセスを防ぐための設定を行ったり、ユーザー認証の仕組みを管理します。
- セキュリティ診断: システムに脆弱性がないか定期的にチェックし、必要に応じて改善策を講じます。
- ログ分析: システムの操作履歴などを記録したログを分析し、不審な挙動がないか確認します。
5. 改善・効率化(自動化)
より安定したシステム運用や、作業効率の向上を目指します。
- スクリプト作成: 繰り返し発生する作業を自動化するためのプログラム(PythonやShell Scriptなど)を作成します。
- Infrastructure as Code (IaC) の導入: TerraformやAnsibleといったツールを使い、インフラの構築や設定をコードで管理し、自動化・効率化を図ります。
これらの業務を通じて、インフラエンジニアはITシステムの安定稼働を支え、ビジネスの継続と成長に貢献しています。
未経験からインフラエンジニアは目指せる?現実は甘くない?
「未経験からITエンジニアになりたい!」と考えている方にとって、インフラエンジニアは選択肢の一つになる職種です。しかし、「未経験でもなれる」というのは半分本当で半分嘘です。何の準備もなく、ただ「なりたい」と願うだけでは難しいのが現実です。
未経験からインフラエンジニアを目指すことは十分に可能ですが、そのためには計画的な学習と努力が不可欠です。
未経験から目指しやすい理由
- 論理的思考力が重視される: プログラミングのように複雑なコードを書くことよりも、システムの仕組みを理解し、問題解決のための論理的な思考力が求められます。これは、文系出身者や異業種からの転職者でも身につけやすい能力です。
- 学習リソースが豊富: 書籍、オンライン学習サイト、コミュニティなど、インフラ技術を学ぶためのリソースは豊富に存在します。
- 需要が高い: どの企業でもITシステムは不可欠であり、それを支えるインフラエンジニアの需要は常に高い状態です。特にクラウド技術に強い人材は引く手あまたです。
現実的な課題と対策
専門知識の習得が必要
- 基本的なネットワーク、サーバー(Linux)、クラウド(AWSなど)の知識は必須。書籍やオンライン学習で体系的に学ぶ。
実務経験の不足
- 個人で検証環境を構築してみる(自宅PCに仮想環境を作る、無料のクラウドサービスを利用する)。資格取得を通して学習のモチベーションを維持し、知識を証明する。未経験者向けの研修が充実した企業を選ぶ。
学習時間の確保
- 仕事や学業と並行して学ぶ場合は、計画的に学習時間を確保する。毎日少しずつでも継続することが重要。
独学の限界
- 疑問点を解決できる環境(オンラインコミュニティ、スクールなど)を活用する。定期的にアウトプットする機会を作る。
学習内容の多さ
- まずは基礎を固め、興味のある分野や需要の高い分野に絞って深く学習する。いきなり全てを学ぼうとしない。
トラブル対応力
- 実際のトラブルを想定したシナリオ学習や、簡単なトラブルシューティングを経験してみる。冷静に原因を特定し、解決策を探す思考プロセスを鍛える。
大切なのは、「なぜインフラエンジニアになりたいのか」という明確な動機と、それに向かって努力を継続する強い意志です。
インフラエンジニアに求められるスキル:技術スキルとヒューマンスキル
インフラエンジニアには、幅広い技術的な知識と、それを実践するための応用力、そしてチームで仕事を進めるためのヒューマンスキルが求められます。
必須の技術スキル
ネットワークの知識 インターネットの仕組みの根幹をなすスキルです。
- TCP/IP: インターネットでデータをやり取りするための基本的なルール
- IPアドレス、DNS、ルーティング: データの送り先を指定したり、経路を決定したりする仕組み
- ファイアウォール、VPN: セキュリティを確保するための技術
- CiscoやJuniperなどのネットワーク機器: 実際にネットワークを構築するための機器に関する知識と設定経験があれば、より評価されます。
サーバーの知識 ITシステムの「脳」となるサーバーに関するスキルです。
- OS(Linux, Windows Server): サーバーで最も多く使われるOSの操作スキル。特にLinuxはコマンドラインでの操作に慣れることが重要です。
- 仮想化技術(VMware, Hyper-V): 1台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを動かす技術。リソースの有効活用や管理効率化に役立ちます。
- Webサーバー(Apache, NGINX): Webサイトを表示するためのサーバーソフトウェアの設定。
- データベース(MySQL, PostgreSQL): データの管理システムに関する知識。SQLという言語を使ってデータベースを操作します。
クラウド技術 近年最も需要が高まっているスキルです。
- AWS, Microsoft Azure, Google Cloud: 主要なクラウドサービスの利用経験。
- 主要サービス: 各クラウドが提供する仮想サーバー(EC2など)、ストレージ(S3など)、仮想ネットワーク(VPCなど)といったコアサービスの理解と操作。
- クラウド認定資格: 各クラウドベンダーが提供する認定資格(例:AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト)は、知識の証明になります。
セキュリティスキル 常に進化する脅威からシステムを守るためのスキルです。
- ファイアウォール設定: 不正な通信を遮断するための設定。
- 認証システムの導入: ユーザーが安全にシステムにログインするための仕組み作り。
- セキュリティパッチの適用: ソフトウェアの脆弱性を修正する更新プログラムの適用。
- セキュリティ対策フレームワーク: NIST Cybersecurity Frameworkなどの業界標準の理解。
スクリプト・自動化スキル 運用の効率化や、ミスを減らすために非常に重要です。
- Python, Shell Script: 繰り返し行う作業や定型業務を自動化するためのプログラミング言語。
- Infrastructure as Code(IaC)ツール(Terraform, Ansibleなど): コードを使ってインフラを自動的に構築・管理するツール。再現性や効率性が向上します。
重要なヒューマンスキル(ソフトスキル)
技術的な知識だけでなく、円滑に仕事を進めるためのヒューマンスキルも非常に重要です。
- コミュニケーション能力:
- チームメンバーや開発者、クライアントと連携を取り、要件を正確に把握したり、状況を分かりやすく説明したりする能力。
- トラブル発生時には、関係各所と連携し、迅速な情報共有と協力体制を築く必要があります。
- 問題解決能力:
- システム障害や予期せぬトラブルが発生した際に、冷静に原因を特定し、最適な解決策を導き出す能力。
- 論理的に物事を考え、仮説を立てて検証するプロセスが求められます。
- 学習意欲・探求心:
- IT技術は常に進化しているため、新しい技術や知識を積極的に学び続ける意欲が不可欠です。
- 未経験から目指す場合は特に、自ら学ぶ姿勢が重要になります。
- 責任感:
- ITシステムの安定稼働は、企業の事業継続に直結するため、非常に大きな責任が伴います。
- プレッシャーの中で、冷静かつ正確に業務を遂行する責任感が求められます。
インフラエンジニアのキャリアパスと将来性:需要の高まりと多様な選択肢
インフラエンジニアのキャリアパスは非常に多様であり、将来性も非常に高いと言えます。IT技術の進化と共に、その需要はますます高まっています。
多様なキャリアパス
インフラエンジニアとして経験を積むと、以下のような専門分野に進むことができます。
- ネットワークエンジニア: ネットワークの設計、構築、運用に特化し、大規模な通信網や複雑なネットワークインフラを扱います。
- セキュリティエンジニア: サイバー攻撃の脅威からシステムを守る専門家。セキュリティ診断、脆弱性対策、インシデント対応などを行います。
- クラウドエンジニア: AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドプラットフォームに特化し、クラウド上でのシステム設計、構築、運用を行います。近年最も需要が高まっている分野です。
- SRE(Site Reliability Engineer): 開発と運用を連携させ、システムの信頼性やパフォーマンス向上を目指すエンジニア。自動化や監視、障害対応に強みを発揮します。
- データベースエンジニア: データベースの設計、構築、運用、チューニングに特化し、大量のデータを効率的に管理します。
- サーバーエンジニア: サーバーの専門家として、OS、ミドルウェア、ハードウェアに精通し、サーバー環境の設計・構築・運用を行います。
- ITアーキテクト: システム全体の設計を担当し、インフラだけでなくアプリケーションも含めた全体最適を追求する上級エンジニア。
- プロジェクトマネージャー(PM): インフラ構築プロジェクト全体の進捗管理、予算管理、メンバー管理などを行い、プロジェクトを成功に導きます。
- フルスタックエンジニア: インフラだけでなく、アプリケーション開発(フロントエンド・バックエンド)の知識も持ち合わせ、幅広い領域をカバーできるエンジニア。
高まる将来性
IT技術の進化は止まることを知らず、インフラエンジニアの重要性はますます高まっています。特に以下のトレンドが、インフラエンジニアの将来性を後押ししています。
- クラウドシフトの加速: 多くの企業がオンプレミス(自社保有)のシステムからクラウドへの移行を進めており、クラウド環境に精通したインフラエンジニアの需要が爆発的に増加しています。
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進: 企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革する中で、それを支える強固なITインフラの構築・運用が不可欠です。
- セキュリティ脅威の増大: サイバー攻撃は年々巧妙化・大規模化しており、専門的なセキュリティ知識を持つインフラエンジニアのニーズは今後も高まり続けます。
- 自動化・IaCの普及: 手作業による運用から、コードを使った自動化されたインフラ管理への移行が進んでおり、これらの技術を扱えるエンジニアの価値が高まっています。
これらの背景から、インフラエンジニアは今後も非常に需要が高く、安定したキャリアを築ける職種と言えるでしょう。
インフラエンジニアになるための具体的な学習ステップ
未経験からインフラエンジニアを目指すための具体的な学習ステップをご紹介します。焦らず、一歩ずつ着実にスキルを身につけていきましょう。
STEP 1: ITの基礎知識を習得する(期間:1~2ヶ月)
まずは、IT全般の基本的な用語や概念を理解することから始めましょう。
学習内容:
- コンピューターの仕組み: CPU、メモリ、ストレージなど、コンピューターの基本的な構成要素。
- インターネットの仕組み: Webサイトが表示されるまでの流れ、HTTP、HTTPSなどのプロトコル。
- OSの基礎: WindowsやMac、LinuxなどのOSの役割と基本的な操作。
おすすめの学習方法:
- ITパスポートなどの入門レベルのIT資格のテキストや問題集を読んでみる。
- IT基礎知識に関する初心者向けの書籍を読む。
- Progateやドットインストールといったオンライン学習サービスで、簡単なプログラミングの基礎に触れてみる(必須ではないが、ITへの理解が深まる)。
STEP 2: ネットワークとLinuxの基礎を固める(期間:2~3ヶ月)
インフラの根幹をなすネットワークと、サーバーOSとして主流のLinuxの知識は必須です。
学習内容:
- ネットワーク: TCP/IPの基礎、IPアドレス、サブネットマスク、ルーティング、DNS、基本的なコマンド(ping, tracertなど)。
- Linux: コマンドライン操作(ファイル操作、ディレクトリ操作、プロセス管理)、ユーザー管理、パーミッション、パッケージ管理。
- 仮想環境の構築: VirtualBoxやVMware Workstation Playerなどの仮想化ソフトウェアを使って、自分のPC上にLinuxサーバーを構築してみる。
おすすめの学習方法:
- 書籍: ネットワークやLinuxの入門書を繰り返し読む。
- オンライン学習: Udemyなどで実践的な学習コースを受講する。
- 資格学習: CCNA(Cisco Certified Network Associate)やLPICレベル1(Linux Professional Institute Certification)のテキストや問題集を活用する。これらの資格取得は、体系的な知識習得と自身のスキルの証明になります。
STEP 3: クラウド技術の習得(期間:3~4ヶ月)
現代のインフラエンジニアにとって、クラウドの知識は必須です。まずは最も利用者の多いAWSから学ぶのがおすすめです。
学習内容:
- AWSの基本サービス: EC2(仮想サーバー)、S3(ストレージ)、VPC(仮想ネットワーク)、IAM(ユーザー管理)など、主要サービスの役割と操作方法。
- 基本的なアーキテクチャ: Webサーバーとデータベースを組み合わせたシンプルなシステム構成など。
おすすめの学習方法:
- AWSの無料利用枠: AWSには無料で利用できるサービス枠があるので、実際に手を動かして触ってみる。
- AWS公式ドキュメント: 各サービスの概要や使い方を確認する。
- Udemyなどの実践講座: 実際の環境を構築するハンズオン形式の講座を受講する。
- 資格学習: AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトの取得を目指す。この資格は、クラウドインフラに関する広範な知識を証明できます。
STEP 4: スクリプト・自動化の基礎に触れる(期間:1~2ヶ月)
運用の効率化には、スクリプトによる自動化が不可欠です。
学習内容:
- PythonまたはShell Scriptの基礎: 変数、条件分岐、繰り返し、ファイルの読み書きなどの基本文法。
- 簡単な自動化スクリプトの作成: ログの整理、定期的なバックアップなど、簡単な運用作業を自動化するスクリプトを書いてみる。
おすすめの学習方法:
- ProgateやドットインストールでPythonやShell Scriptの基礎を学ぶ。
- 簡単なWebアプリケーションを開発するチュートリアルに取り組んでみる。
STEP 5: 実践的な経験を積む&情報収集(継続的に)
学習で得た知識を「使えるスキル」にするには、アウトプットと情報収集が重要です。
個人でのシステム構築:
- 自宅サーバーを構築してみる(Webサーバー、ファイルサーバーなど)。
- クラウド上にブログや簡単なWebサービスをデプロイしてみる。
- ポートフォリオとしてGitHubなどで公開できるものを作る。
情報収集:
- 技術ブログやニュースサイトを定期的にチェックし、最新のトレンドや技術動向を追う。
- 勉強会やセミナーに参加し、他のエンジニアと交流する。
- Qiitaなどの技術共有サイトで、自分の学んだことをアウトプットしてみる。
資格取得のススメ
資格取得は、未経験者が自身のスキルを客観的に証明する有効な手段です。学習のモチベーション維持にもつながります。
- ネットワーク: CCNA
- Linux: LPIC Level1、またはLinuC Level1
- クラウド: AWS認定(ソリューションアーキテクト – アソシエイト、クラウドプラクティショナーなど)、Azure認定、Google Cloud認定
- セキュリティ: CompTIA Security+、情報セキュリティマネジメント試験
これらのステップを計画的に進めることで、未経験からでもインフラエンジニアへの道が開けるでしょう。
インフラエンジニアの年収は?市場価値を高めるには
インフラエンジニアの年収は、経験年数、保有スキル、担当するプロジェクトの規模、勤務する企業などによって大きく異なります。
年収の目安
一般的に、インフラエンジニアの年収は、他のITエンジニア職種と比較しても平均かやや高めの傾向にあります。
- 未経験・ジュニアレベル(1〜3年目): 300万円〜450万円
- このフェーズでは、まずは基礎を習得し、OJTを通じて実務経験を積むことが目標です。
- ミドルレベル(3〜7年目): 450万円〜700万円
- 特定の技術分野で専門性を持ち、プロジェクトの中核メンバーとして活躍できるレベルです。
- シニアレベル・マネージャー・スペシャリスト(7年以上): 700万円〜1000万円以上
- 大規模なシステム設計やプロジェクトマネジメント、あるいは特定の技術分野のスペシャリストとして、高い市場価値を持つ人材です。
市場価値を高めるためのポイント
年収アップやキャリアアップを目指すには、以下の点を意識して市場価値を高めることが重要です。
- クラウドスキルの習得: 特にAWS、Azure、Google Cloudのいずれかの深い知識と実務経験は、現在のIT市場で最も高く評価されるスキルの一つです。複数のクラウドを扱える「マルチクラウド」の経験があれば、さらに希少価値が高まります。
- 自動化・IaCの習得: Terraform、Ansible、KubernetesなどのIaCツールや、Pythonなどによるスクリプト作成スキルは、運用効率化に直結するため、非常に需要があります。
- セキュリティ知識の強化: サイバー攻撃の高度化に伴い、セキュリティ対策は企業にとって喫緊の課題です。セキュリティに関する専門知識や資格(例:CISSP、情報処理安全確保支援士)は、市場価値を大きく引き上げます。
- マネジメントスキル: 技術的なスキルだけでなく、チームをまとめるリーダーシップやプロジェクトマネジメントのスキルは、キャリアアップに不可欠です。
- コミュニケーション能力: 技術的な課題を非エンジニアにも分かりやすく説明したり、他部署や顧客と円滑に連携したりする能力は、プロジェクトを成功させる上で極めて重要です。
- 新しい技術へのアンテナ: IT業界の技術進化は目覚ましいものがあります。常に最新の技術トレンドを追いかけ、積極的に学習する姿勢が、長期的なキャリア形成には不可欠です。
これらのスキルを複合的に身につけることで、企業にとって「いなくてはならない」存在となり、結果として年収アップや希望するキャリアパスを実現できる可能性が高まります。
インフラエンジニアに関するQ&A
インフラエンジニアについて、よくある質問とその回答をまとめました。
Q1: 文系出身でもインフラエンジニアになれますか?
A1: はい、十分可能です。 インフラエンジニアに必要なのは、プログラミング能力よりも論理的思考力や問題解決能力です。これらは文系・理系に関わらず、訓練次第で身につけられるスキルです。実際に多くの文系出身者がインフラエンジニアとして活躍しています。重要なのは、IT技術への興味と学習意欲です。
Q2: 資格は取るべきですか?
A2: 未経験者にとっては、特に有効なアピールポイントになります。 資格は、体系的な知識を習得した証明となり、採用担当者に対して「学ぶ意欲がある」「基礎知識がある」ことを示せます。ただし、資格取得がゴールではなく、そこで得た知識を実際に手を動かして実践することが何よりも重要です。
Q3: 勉強に終わりがないと聞きましたが本当ですか?
A3: はい、その通りです。 IT技術は常に進化しており、新しい技術やサービスが次々と登場します。そのため、インフラエンジニアは常に学び続け、スキルをアップデートしていく必要があります。これは大変な面でもありますが、新しい技術に触れられる楽しさや、自身の成長を実感できるやりがいにも繋がります。
Q4: 残業が多いイメージがありますが実際はどうですか?
A4: 企業やプロジェクトによって大きく異なります。 確かに、システム障害発生時や大規模なメンテナンス時には、緊急対応や夜間・休日作業が発生することもあります。しかし、最近では労働環境改善に取り組む企業も多く、自動化ツールの導入やクラウド活用により、計画的な運用が可能になり、残業時間が削減される傾向にあります。入社前に企業の労働環境やプロジェクト体制をよく確認することが重要です。
まとめ
インフラエンジニアは、ITシステムの安定稼働を支える非常に重要な職種です。サーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティなど幅広い知識とスキルが求められますが、その分キャリアの選択肢も豊富で、将来性も非常に高いのが特徴です。
未経験から目指す場合でも、計画的に学習を進め、基礎知識をしっかりと身につけ、実際に手を動かして経験を積むことで、十分に活躍できる可能性を秘めています。
この職種に挑戦することで、あなたはIT業界の根幹を支えるプロフェッショナルとして、大きなやりがいと安定したキャリアを築くことができるでしょう。
もしインフラエンジニアの仕事に少しでも興味を持ったなら、ぜひ今日から学習を始めてみてください。あなたの挑戦を応援しています。