Amazon RDS & Aurora 高度設定

はじめに

Amazon RDSやAuroraは、マネージドなリレーショナルデータベースサービスとして非常に便利ですが、単に立ち上げるだけでは高可用性や高パフォーマンスを最大限に活かせません。
本章では、マルチAZ構成スナップショットとリストアリードレプリカRDS Proxy、そしてPerformance Insightsといった「高度設定」について、実践的かつ具体的に解説します。

マルチAZ構成とフェイルオーバー

RDSのマルチAZ構成は、本番環境における高可用性を実現するための基本設定です。
マルチAZを有効にすると、AWSは自動的に同期レプリケーションされたスタンバイインスタンスを別のアベイラビリティゾーン(AZ)に用意します。

メリット

  • 障害発生時に自動フェイルオーバーが可能
  • スタンバイ側は更新系には使えないが、自動で切り替わるため運用負荷が激減
  • スナップショットやメンテナンスの影響を低減

フェイルオーバーの流れ

以下のような状況で自動フェイルオーバーが発生します:

  • プライマリインスタンスの障害検知
  • AZ全体の障害
  • メンテナンスイベント

RDSのエンドポイントは変更されず、クライアント側はほぼ透過的に切り替わります。

スナップショット・リストア・リードレプリカ

スナップショットとリストア

RDSでは手動・自動の2種類のスナップショットがあります。
これを利用することで、特定時点へのロールバックや、テスト環境の作成が容易になります。

# スナップショットの作成 (CLI) 
aws rds create-db-snapshot \ --db-instance-identifier mydb \ --db-snapshot-identifier mydb-snapshot-20251001 

また、Auroraではバックトラックというさらに柔軟な時点復元機能もあります。

リードレプリカの活用

リードレプリカを利用することで、読み取り処理のスケールアウトが可能になります。
以下のような活用が一般的です:

  • レポートやBIツールからのアクセス負荷分散
  • バックアップやバッチ処理の読み取り先
# リードレプリカの作成 (CLI) 
aws rds create-db-instance-read-replica \ --db-instance-identifier mydb-replica \ --source-db-instance-identifier mydb 

AuroraではリードレプリカもマルチAZに対応しており、フェイルオーバー先としても活用可能です。

RDS Proxyの導入と接続最適化

RDS Proxyは、アプリケーションとRDS/Auroraの間に入る接続プーリングサービスで、データベース接続の効率化に大きく貢献します。

主な利点

  • 接続数の最適化(コネクションプール)
  • 認証・セッションの統合管理
  • フェイルオーバー時の接続継続性の向上

RDS ProxyはLambdaなどのサーバレスアプリケーションとも相性抜群です。

設定ポイント

# IAMロールやSecrets Managerとの連携が必要 
# CloudFormationを使った定義例 
Resources: MyRDSProxy: Type: AWS::RDS::DBProxy Properties: DBProxyName: my-rds-proxy EngineFamily: MYSQL Auth: - AuthScheme: SECRETS SecretArn: arn:aws:secretsmanager:xxxx:secret:mydbsecret RoleArn: arn:aws:iam::xxxx:role/my-rds-proxy-role 

Performance Insightsでの監視

RDSやAuroraにおけるパフォーマンスのボトルネックを可視化するために有効なのがPerformance Insightsです。

特徴

  • SQLレベルで負荷を分析(TOP SQL、Wait Events)
  • 過去7日〜最大2年のデータ保持(Auroraは最大2年)
  • CloudWatchよりも視覚的にわかりやすい

チューニング対象のSQL特定やインデックス最適化の指針に活用できます。

# Performance Insightsの有効化(コンソール or CLI) 
aws rds modify-db-instance \ --db-instance-identifier mydb \ --enable-performance-insights 

まとめ

Amazon RDSやAuroraは、マネージドであるがゆえに「お任せ」で運用しがちですが、本記事で紹介した高度設定を活用することで、可用性・パフォーマンス・拡張性が飛躍的に向上します。

特に本番環境においては、マルチAZ構成やリードレプリカ、RDS Proxyの導入はもはや必須と言えるでしょう。
さらにPerformance Insightsでの継続的な監視と改善により、より安定したシステム運用が可能になります。

採用情報 長谷川 横バージョン
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